2010年3月22日月曜日

動物たちの反乱


河合雅雄・林良博(2009)動物たちの反乱 増えすぎるシカ、人里へ出るシカ。PHPサイエンスワールド新書、東京。

を読みました。

最初は近年、被害が増えた原因やワイルドライフマネジメントに関する総論からはじまり、
各野生動物による被害の現状や防除方法などの各論、
そして
被害を受ける人たちの野生動物に対する意識や
日本人の動物観などが述べられています。


読んだ感想として、
まず
動物による被害を防ぐ方法はたくさん存在しており、
有効に活用されれば、かなりの効果をあげることができるという印象を受けました。

ただ、
防除対策には多大な労力が必要とされるのですが、
その労力を費やす価値をなかなか地域の人たちに理解してもらえず、
その結果、
防除対策がうまく機能していないようでした。

逆に
防除対策の有効性を地域の人に理解してもらうことこそが、
動物による被害を防ぐために、今後重要になってくるものと思いました。


この本のおもしろかった点として、
被害を受ける人の考えや
日本人の動物観について述べている点です。

このような人間の動物に対する意識を掘り下げている本は
あまりなかったと思います。

その中でもとくに興味深かったのは、
被害を受けている人の中には、
動物をかわいくて憎めない、と思う気持ちから
被害を許容している点でした。

このように
被害を許容する意識があるからこそ、
被害対策に関する地域住民の理解が得にくいのかなぁ、と思いました。



全体的に
読みやすく、自然に興味がある人であれば
面白い本だと思います。

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